「フィッティングチェアー」のお話

「こんにちは、私はドイツから来たフィッティングチェアーです! なりは小さいけど、お宅のソファーが全部買えるぐらいの高級品なのよ♪」

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と、イスが言っているかどうかは解りませんが、普通の方は「これイス?」とお思いでしょう・・・これは靴屋さんの重要なアイテムの一つで・・・

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この様に腰掛けて、お客様に靴をお履かせしながら「足と靴のフィッティングをチェックする為のイス」なのです。

ヨーロッパの靴屋さんに行くと当たり前にあるものなのですが、日本ではなかなかね~・・・逆に、これが置いてあるとそこは「靴専門店」であるひとつの証明とも言えます。

靴専門店と書いたのですが・・・実は今回あるドクターよりの御用命で「これは診療に必要なアイテム」であるという卓越したご判断のもと、当方で調達をさせて頂いた一品です。

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しかし、ヨーロッパ製にありがちな・・・というか製品としてツメが甘く「4本の足の長さが微妙に違ったり、足の底面も木製の為にかなり滑る」と言うお茶目な欠点があり、どうするかというと?

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「だったら、削ってしまえ!」という短絡思考で靴の調整用のグラインダーマシンでダイナミックにカット!

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お次は滑り止め対策として、靴用の底材を切り取って・・・

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ボンドをぬりぬり・・・

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乾燥したボンドをヒーターでしっかり活性化させて・・・

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ハンマーでトントンと接着しま~す♪

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最後は、はみ出したボンドを拭き取って・・・お終いです。

たまにイタリア製の高級ブランドのパンプスの修理などするのですが・・・左右の幅やヒールの形状、ひどいときはヒールの高さまで違うときがあります。

しかし!なのに!このお靴を床に置いて眺めてみると「凜」とした風格があり、トータルとしては完成された美しい靴なのです。

ツメは甘くても全体で見ると、やはり素晴らしいヨーロッパプロダクツ・・・そこには「ちっ!しょうがね~な~」と言いつつ細かく手を入れる自分がいます・・・そんな風に生涯、ヨーロッパの靴に魅入られて過ごしていくのだろな~・・・。

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さて、パッキングも終わりましたのでドクターのもとへお届けします。

ご許可がおりれば、いつか、その嫁入り先も取材してみたく思います・・・達者でな~!!

*来週の火曜日の更新はお休みします