靴の加工・調整 ~ フィンコンフォートの吊り込み切れ補修・靴底のボールローリング加工編

こんにちは、シューズクラトミ・社長です。

前回までは「フィンコンフォートの吊り込み切り補修」として、修理の工程の流れでした。
今回は修理プラスとして、靴底に機能的な加工を行いましたので、ご紹介します。

こちらはもう加工済みの靴底です。
靴底には3つのカーブがあり、大まかに「踵から地面に接地する面」「次に地面に接地する面・いちばん体重の掛かる面」「つま先で地面を蹴り出す面」となります。

この3つのカーブの比率を変えることで、歩行や安定性が変化します。
今回は足首の関節を傷められて、足が上がらない・足が上がらず、つま先を蹴り気味とのことで、この3つのカーブを調整しています。


(左が調整したもの・右がノーマル)

印象として調整した靴は、趾の関節部分からつま先にカーブが掛かっており、その部分が少し高くなっているイメージです。
また、ノーマルの靴は、趾の関節部分のひとつ後ろから、つま先へのカーブが始まっており、その部分は低く抑えてあります。

2つのカーブはこのイメージです。
調整した靴は「いちばん地面に接地する靴底の真ん中の面の比率を大きくして、安定性を優位に」、「つま先の蹴り出しが始まる部分を高くする事で、踏み込みを靴底に任せる」をポイントとしました。

メリットは安定性と足上がりの良さ、デメリットは歩幅が短くなることかと思います。
お客様のご意向としては、関節の保護と歩きやすさ・つま先の保護(蹴飛ばさない)ことで、ダイナミックなウォーキングではないので、それに合わせた加工です。


(左が調整したもの・右がノーマル)

また、つま先の吊り込み糸(ステッチダウン)が見えていた部分は保護のために、積み上げ材を被せて、靴底材をぎりぎりまで延長して巻き上げて、地面に擦らないように工夫しました。
これだけでも、靴底の持ちがかなり違うと思います。

今回は、靴底の形状自体をかえて、歩行などの「靴の性格」を変えてしまう加工でした。
こちらのお靴も購入されて、それなりに年月が立たれており、また、足もとも変化されています。

そして、このような加工で変化した足もとにも対応でき、最近、なにか履き心地が違うなと思われたお客様は、お気軽なお問い合わせをお待ちしております。


ローリング加工(両足) 15,000円(税別)



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